UL : まずは、あなたにとってカスタマーエクスペリエンスとは何か、そしてなぜそれが重要だと思うのかを教えてください。

カスタマーエクスペリエンスは、お客様の人生に大きな影響を与えるものであり、時には私たちが気付かないうちに影響を与えていることもあります。だからこそ非常に重要なものであると捉えています。お客様のほとんどは、一生に一度のバケーションを楽しむために宿泊してくださいます。ハネムーンはもちろんのこと、記念日などでご利用いただくことも多いです。当リゾートに期待して訪れてくださる方にとって、ここでの経験は一生の思い出です。その思い出をいつまでも大切にして、帰宅後にご友人やご家族に話をしてくださるでしょう。周りから「どうだった?」と尋ねられ、時間が経っても写真を見ては、当リゾートでの経験を思い出すのです。そして、その思い出を素晴らしいものにするか悪夢にしてしまうかは、私たちの力にかかっているのです。

私は、カスタマーエクスペリエンスとは人と人とのつながりがすべてであると考えています。つまり、私たちが提供するサービスそのものです。ロケーションは、他のリゾートも素晴らしいので、ここで差別化を図ることはあまり考えていません。人々が当リゾートのような場所に旅行に出かけるときは、リラックスできる時間を楽しみたいと思っているからです。開放的になって、新しい体験を求めているのです。そんな人々の心に入るには、細やかで個人的な感情のつながりを確立することが必要になります。私たちは、お客様が持つ期待を理解し、当リゾートでの体験をより印象深いものにしたいのです。最近のホテル経営者は、感情知性というものを非常に過小評価する傾向にありますが、私は、お客様に寄り添えるホテルスタッフの感情知性こそ非常に重要であると確信しています。

UL : 優れたカスタマーエクスペリエンスを実現することで、どのような経済的メリットがあるとお考えですか?

どんな企業にとっても、最高の広告は口コミです。お客様が親しい人に広めてくれたり、ソーシャルメディアで体験談を共有してくれたりといった、いわゆるクチコミマーケティングは非常に貴重です。リピーターとなっていただくには、もちろん良い評価をしていただく必要があります。私たちにとって、このような個人的な評価や推薦は、ロイヤリティプログラムやスポンサーシップよりも価値があるものです。ハッピーなお客様は、ブランドアンバサダーやリピーターになってくれるので、結果的に金銭的な面でもビジネスに大きなリターンがあるのです。

UL : カスタマーエクスペリエンスを向上させる最良の方法とは何だと思いますか?実際に成功した実用的なツールやテクニックがあれば教えてください。

最良の方法は、人と人との触れ合い、つながりですね。どんなやり取りでも、機械では代替できない人間的な交流をすることです。感想や意見などをアンケート用紙に記入してもらうこともビジネスにとって重要ですが、紙の上では実際のお客様の表情といった情報は得られません。お客様に書面で感想を求めれば「何も問題ありません」と書いてもらえるかもしれませんが、しっかりと教育やトレーニングを受けたプロであれば、本当は何か思うことがあるかもしれないとお客様のお顔から見抜くことができます。私たちは、人間だから感じ取ることができ、プロだから調査したり、質問したりすることができるのです。どこで失敗したのかを理解し、どうすれば改善できるのか、あるいはお客様を良い意味で驚かすことができるのかを考えられるのは人間だからです。現在のテクノロジーは素晴らしいものですが、人間の感覚と完全に代替することはまだできませんからね。

UL : カスタマーエクスペリエンスの改善が必要かどうか、どうやって知ることができるのでしょうか?または、どのように成功を測っていますか?

私たちは、よくある書面でのアンケートは実施していません。代わりに、人と人との交流をベースに、日々お客様の声を集めています。すべての部署のスタッフがお客様との交流を持ち、当リゾート全体に役立つ可能性のあるポジティブな情報もネガティブなご意見も、全員がすべて確認できるプラットフォームですべて共有しています。

お客様の満足度は、感覚や感情がその大部分を占めています。私たちの仕事は、その感情に大きく関わるものであり、感情を隠したり、嘘をついたりすることは困難です。怒りや喜び、嬉しさなどはボディランゲージや表情、言葉の表現で理解し、感じ取ることができます。ホテルを出る船で別れを惜しんで泣いてくださるお客様がいるのは、私たちにとって最高のご褒美と言えます。お客様が期待する以上のサービスを提供できたこと、お客様の休暇が思い出深いものになったことを実感できるからです。

UL : なぜ顧客ロイヤリティにこだわるのですか?カスタマーエクスペリエンスは、ロイヤリティにどう結びつくのでしょうか?

顧客ロイヤリティや関連するプログラムは、大きなリターンを生み出します。戻ってきてくださるお客様がブランドの未来を築くのです。ただし、前よりも高い期待を持って戻ってきます。戻ってくるたびに、前よりも期待値が上がります。より多くのことを求めてやってくるのです。だから、私たちも毎回それに応えるためレベルを上げていかなければなりません。それは自動的にできるものではなく、常に意識してより良いカスタマーエクスペリエンスを提供していく必要があります。

UL : パーソナライゼーション(顧客一人ひとりに合わせた細やかなサービスの提供)はカスタマーエクスペリエンスや顧客ロイヤリティにどのような役割を果たすとお考えですか?

より現実的で世界で展開されているようなプラットフォームは、その分露出も多いので、顧客ロイヤリティが大きな役割を果たします。規模が大きくなると標準化を図る必要がありますが、これにはメリットとデメリットがあります。たとえば、ニューヨークで食べるハンバーガーも香港で食べるハンバーガーも基本的には同じものです。しかし、どこでも同じ味を楽しめることはメリットであるのと同時に、ローカライゼーションやパーソナライゼーションを欠いていることを意味します。私たちのリゾートは、これよりも非現実的な世界感にあります。当リゾートでは、お客様の旅をより特別で個人的なものにする自由度が非常に高いです。基本となる手順は定められていますが、幅広い自由度と行動力が持ち味です。決められたことに縛られるのではなく、人と人との交流に基づいて各自が仕事をしています。お客様お一人おひとりが異なる旅をしているのですから、私たちはその特別な瞬間を、より素敵なものに、そしてより記憶に残るものにしたいのです。

UL :  カスタマーエクスペリエンスの管理や向上のために、テクノロジーをどのように活用していますか?

当リゾートは、お客様の旅のすべてをデジタルプラットフォームで運営するモルディブ初のリゾートです。完全なペーパーレス化を実現しています。グリーングローブの認証を受けており、持続可能性に特に注意を払っています。当リゾートに予約をすると、確認番号が発行され、アプリをダウンロードするように案内されます。このアプリでは、すべてのリソースや情報にアクセスすることができます。チェックインはもちろん、法的な手続きに必要な個人情報の入力も可能です。滞在中のアクティビティを検索して予約することもできます。当リゾートに足を踏み入れる前に、バケーションの計画や管理を始めることができるのです。また、オンライン決済にも対応していますし、アプリ内のチャット機能でスタッフと直接会話をして疑問を解決することもできます。当リゾート滞在中でも、わざわざフロントに足を運ぶことなく、プールサイドでくつろぎながら問い合わせをして、回答を得ることができるのです。カスタマーエクスペリエンスの向上にテクノロジーが大いに役立っています。

UL : 他のリゾートやホテルとどのように差別化を図っていますか?

当リゾートは4つ星を獲得しています。5つ星ホテルのようなラグジュアリーな部類には属していません。むしろ、ロケーションの豊かな自然を大切にしています。緑がとても豊かで、周りの海には様々な海洋生物が生息しており、持続可能性を重視しています。最近では、多くのリゾートがラグジュアリーな方向に向かおうとしていますが、私たちは過去に戻って、自然に配慮し、持続可能な環境を目指しています。

UL : では最後に、これからのホスピタリティ業界のカスタマーエクスペリエンスを推進する主なトレンドについて教えてください。

たくさんの人が我慢を強いられた2020~2021年でしたが、多くの人が早くまた自由に旅行できるようになることを望んでいます。皆旅行に行きたがっているのです。当リゾートは、そんなお客様を喜んでお迎えします。おそらく世界が以前のように戻ることはないでしょう。しかし、多くの人が人生における優先順位や仕事とプライベートのバランスの重要性をより理解した今だからこそ、当リゾートで充実した家族時間を過ごして心の充電をしていただきたいです。 

記者

Anna

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