セルフストレージ業界において需要のカギとなる4つの「D」は、顧客市場を安定させ信頼性の高いものにする重要な要素です。今回はこの4つの「D」についてご紹介します。

セルフストレージの需要は、ここ数年で急速に高まっています。そんな中で事業を成功させるには、一部のセルフストレージの専門家が論じている「4つのD」についてよく理解しておくことが重要です。4つのDとは、Divorce(離婚)、Death(死)、Downsizing(縮小)、Displacement(転居)です。この4つの要素の組み合わせが、安定した信頼性の高いセルフストレージ顧客市場を築いていくのです。これらは新規事業の重要な推進力になるのですが、お客様にとってはストレスがかかり、苦痛を伴うことが多いため、事業者は最高のサービスを提供することが大切になります。
Divorce(離婚)
セルフストレージの利用者が離婚する場合、物流上の問題が多く発生します。生計を別々にするときに、共有で利用していたユニット内の荷物の所有権や請求権の争いにつながるからです。ユニット内にある相手の荷物を配偶者が勝手に持ち出してしまうケースもあります。離婚は常に否定的な感情や環境で満たされているため、利用者の苦難を和らげるのは難しいですが、利用者を保護できるようなプロセスを採用したり、使いやすいシンプルなサービスを提供したりすることで事業者が利用者のストレスを最小限に抑えることはできます。
法的に最も考慮べき重要な事項は、関連する法律や規制に準拠している最新かつ正確な賃貸契約を締結することです。契約の名義人とユニットにアクセスできる人は誰なのかを把握できるようにしておきましょう。前述のように、悪意を持って配偶者の荷物をユニットから持ち去ってしまうことがあります。明確に定義することで、利用者の荷物を守るための適切な手順を取ることができますし、可能な限りシンプルでストレスのないプロセスを採用することができます。
Death(死)
家族や親しい人の死は、耐え難いものです。多くの場合、遺族は亡くなった人の財産の処理を行わなければならず、処理や手続きが完了するまでその財産を保管しておく必要があります。そこで、遺品を管理する負担を少しでも軽減するためにセルフストレージを利用するケースが多々あります。このように大切な人を失った利用者とやり取りする場合、特に思いやりを持って、遺族の気持ちに寄り添うようなサービスを心がけなければなりません。利用開始時にお悔やみのメッセージを添えたカードなど、ささやかな心添えが大きな違いを生み、利用者も処理や手続きに対するストレスを軽減できるでしょう。
法的な側面では、いくつか考慮すべきことがあります。前述の繰り返しになりますが、最新かつ正確な賃貸契約を締結していることが極めて重要です。契約の名義人とユニットにアクセスできる人は誰なのかを把握できるようにしておきましょう。遺品となると、特に価値の高いものが含まれている可能性がありますので、適切に保管できるようユニットの設備も確認しておく必要があります。
Downsizing(縮小)
セルフストレージ需要の要因である3つめの「D」は、Downsizing(縮小)です。つまり、今よりも狭いスペースに引っ越すため荷物の保管先としてセルフストレージを選択することを意味しています。このようなケースでは、他の要因に比べて利用者が負の感情を持つことはないかもしれませんが、それでもやはり引っ越しは骨の折れる作業です。夏休みの間自宅を離れる学生や、子供の独立に合わせて小さな家に引っ越す夫婦など自発的に住まいの規模を縮小するケースがここに当てはまります。
このようなニーズに応えるため、顧客が気軽に保管したい荷物を店舗に持ち込み、その場ですぐに保管できるように引っ越し用パックなどを用意するといいでしょう。割引や特別価格を提供するパックだけでなく、ユニットのレンタル料にあらかじめ引っ越しで使える備品代も含めておくのもお勧めです。引っ越し用のトラックを提供するのも、利便性を高める方法の1つです。
Displacement(転居)
最後となる4つめの「D」は、Displacement(転居)です。3つめのDownsizing(縮小)と似ていますが、この場合は規模の小さい所への移動ではなく、自発的な引っ越しでもありません。転居を余儀なくされた人に提供できるサービスは、Downsizing(縮小)による利用者に提供するサービスとに似ていますが、カスタマーサービスの観点で言えば、より細やかな気配りが必要になります。理由が何であれ、非自発的な転居は感情的になったり極度のストレスを抱えたりするものなので、少しでもそのストレスを軽くできるように利用者の気持ちに寄り添えるサービスを準備しておくといいでしょう。
セルフストレージ事業のカギを握る4つの「D」は、需要の大部分を占めるでしょう。しかし、事業者は利用者が苦痛を強いられていたり、強いストレスを感じていることを常に心に留めておかなければなりません。難しい状況であっても、できる限りそのストレスを軽減できるサービスを提供できるように、利用者と接するスタッフをよく訓練しておく必要があります。ここで紹介した4つの「D」すべてが事業を成長させるための要因となり得ますが、何より重要なのは、利用者に対してポジティブな経験を提供することです。そうすれば、彼らがその良い経験を周りに話し、自ずと宣伝してくれるでしょう。