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セルフストレージ業界はIT技術を徹底的に見直す時代へ

わずか60年ほど前にアメリカで始まった業界が、今では4.3兆円の世界的な市場に成長していることは信じがたいことです。アジアや北米だけでなく中南米、ヨーロッパ、中東、アフリカまで、世界中のいたるところで個人的な荷物を保管できるセルフストレージサービスを見かけるようになりました。 

ここ数年旅をしながら分かったことは、セルフストレージ事業者の大半が新興企業ではなく、何年も前から運営している企業であるということです。事業者はまず自社所有もしくは賃貸物件をセルフストレージ仕様に整備し、運営を開始します。そして運営に伴う日常業務を行うためにシステムを導入し、情報管理を行います。しかし、現在セルフストレージ運営に特化したシステムは少なく、従来の古いシステム、もしくは別の業種用に開発されたシステムを使用している例が多数見られます。これにより、時代の変化とともに開発されている新しいシステムや機能との統合が出来ないため、多くのプロセスや各システムでの情報管理が求められることとなっています。 

私たちはセルフストレージ業界に20年以上携わり業界におけるテクノロジーの傾向を間近で見てきましたが、多くの製品やサービスがレガシー(ひと昔前の)テクノロジーのまま行き詰まっています。この記事では、テクノロジーの活用法だけでなく、古いソフトウェアやレガシーシステムがセルフストレージの運営にどのような弊害をもたらすか、そしてこの業界向けに特別に設計された新しいテクノロジーに投資するメリットは何かをご紹介していきます。 

カスタマイズされたシステム 

多くの企業は、すでにシステムのカスタマイズに多額の投資をしていますが、セルフストレージの顧客の変化するニーズに対応するために、カスタマイズしたシステムの継続的な開発が課題になっています。多くのカスタマイズされたシステムは、SNSやメール、音声を介した顧客とのインバウンドまたはアウトバウンドのコミュニケーションに対応できるように設計されていないか、カスタマイズできるほどの柔軟性を持ち合わせていません。カスタマイズしようとしても、新しいアプリやシステムなどに追いつくために更なる開発費用が必要になるでしょう。 

業界専用ではないソフトウェア  

セルフストレージ業界は独特で特殊な事業なので、不動産管理やアパート賃貸市場のような別の業界のソフトウェアを使用することは適切とは言えません。また、ソフトウェアが現地の言語に対応しているということを投資の主な理由にすべきではありません。別の目的のために設計されたソフトウェアを購入することで、プロセスの変更が必要になったり、スタッフに不要な作業を強いて負担をかけてしまったりする懸念もあります。また、顧客を適切にサポートできず、顧客の獲得や維持に問題が発生する可能性もあります。 

ソフトウェアの更新やバージョンとそのロードマップ 

ソフトウェアの更新は、セキュリティ上の理由や新機能の提供のために定期的に行われます。一方で、バージョンのリリースは、強化されたテクノロジーをユーザーに提供したり、潜在的な問題に対処したりします。しかし、ハードウェアが最新ソフトウェアに対応していなかったり、他システムとの統合に時間と費用を費やしてきたのにバージョン変更によって何かが壊れて混乱を引き起こしたりする可能性があります。管理者は、どのような新機能がリリースされる予定なのか、変更がビジネスにどのような悪影響を及ぼす可能性があるかなどをより深く理解するために、製品のロードマップにも注意を払う必要があるでしょう。 

カスタマーエクスペリエンス(CX)とオムニチャネルの成長 

セルフストレージ事業成功のカギは、お金を払って施設を利用してくれる満足度の高い顧客が多くいることに尽きます。しかし、1970年代の頃とは違って、今日の消費者は皆スマホを使い、音声でのやり取りよりもLINEやFacebook、WhatsApp、インスタグラムといったSNSチャネルを使ってコミュニケーションを取っています。顧客となり得る人々の多くは、モバイル決済アプリを使用しているでしょう。その普及率には目を見張るものがあり、2020年にはなんとモバイルPOSによる支払い数がクレジットカードと現金による支払いを合わせた数を上回りました。 

今日の顧客は指先一つですべてのものを手に入れることができますが、現在のシステムは顧客のニーズの高まりに対応できているでしょうか?顧客は、自分のライフスタイルに最も適したチャネルを使って、自分の都合の良い時間に連絡を取りたいと考えているのです。 

クラウドとオンプレミスの違い 

多くの企業がオンプレミスのシステムを使用しています。比較的新しいクラウド型は、サーバーとその関連システムを自社内で管理するオンプレミス型に比べて大きなメリットがいくつかあります。ここでは、その中でも特に意味のあるメリットを以下に挙げてみました。  

  • 自社でハードウェアのメンテナンスやサポートが不要  
  • 普段使っているウェブブラウザからクラウドアプリにアクセス可能 - VPNやファイアウォールなどのセキュリティ設定不要 
  • 主要なアプリや関連するアナリティクスを単一のビューで表示可能 - システム統合不要 
  • ソフトウェアのアップデートやアップグレードがサービス契約範囲内 
  • ごくわずかな設備投資と魅力的な運用コスト 

アクセス制御 

セルフストレージまたはトランクルーム施設を設置する際に最も重要な分野の一つが、アクセス制御とセキュリティです。新型コロナウイルスのパンデミック以前に、古いテクノロジーに基づいて構築されたアクセス制御システムは既に限界を迎えていましたが、パンデミックによってさらに窮地を迎えています。顧客とのソーシャルディスタンスを保つために、顧客の店舗へのアクセス履歴やナンバープレートの識別、施設内での物理的な動き、タイムスタンプなどを含む遠隔地からの可視性が必要になります。しかし、時代遅れのシステムには、このような機能が搭載されているものが少なく、せっかく店舗へのアクセス制御やセキュリティ対策を提供できる新しいソフトウェアアプリが登場しても対応できないことが少なくありません。  

最後に 

セルフストレージ事業を運営するのにかかる費用は決して少なくありませんし、関連するリスクも発生するでしょう。正しく管理できれば事業を繁栄させることはできますが、先述のとおり、成功の妨げとなったり非効率な運営を強いられたりする領域があるのも事実です。 

日本のセルフストレージ市場の年平均成長率(CAGR)は、10%と予測されています。また、一般的な顧客が支払う金額は月々約1万3000円で、平均契約期間は15ヶ月であることも分かっています。また、最近の調査によると、消費者の44%が、企業との関係を築く可能性を高める要因として、オムニチャネルを挙げています。デジタルトランスフォーメーションを実現するシステム市場のリーダーともいえるZendeskによる追加調査では、75%の顧客が優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)を提供している企業から購入する場合、消費者はより高い金額を支払うことが分かりました。これはすべての市場に言えることですが、幸せな顧客は、より長く企業との関係を維持し、より多くのサービスを購入し、より多くのお金を落としてくれるのです。 

なぜ、顧客は自社のセルフストレージサービスを選ぶと思いますか?この激動の時代に顧客関係と事業を成長させるために何ができるでしょうか?新型コロナウイルスが人々の働き方、生き方、コミュニケーションのあり方を永遠に変えてしまった今、このような質問を自身に投げかけることに意味があるのではないでしょうか。