今日から3回に分けて、日本におけるカスタマーエクスペリエンス(CX)、在宅勤務(WFH)、そしてコールセンターについてお話ししたいと思います。今回はその第1回目となります。どんなお話をするかと言うと、具体的には、顧客満足度を高めるために在宅勤務を活用したオムニチャネルのアプローチ方法についてです。

まずは、背景から見ていきましょう。2020年、新型コロナウィルスはビジネスの世界を変えました。世界的な第二波が発生している中、企業はどのような新たな行動や方法を模索しています。そんな中で、在宅勤務が注目されはじめ、いまやこの「リモートワーク現象」はソーシャルディスタンスを保つ上で非常に有効な手段として爆発的に広まっています。企業が在宅勤務の有効性や可能性、やり方次第で高い生産性を生むということを学べたことは、コロナの感染拡大における唯一の良い結果といえるのではないでしょうか。
5月6日付のジャパンタイムズの記事では、コールセンターがコロナ感染拡大のホットスポットとして警鐘を鳴らしていました。一般的にコールセンターのような施設では、大勢の人が仕切りのない机が並べられた場所で業務にあたっています。コロナ以前の日本では、この業界に携わっている25万人のうち、在宅勤務が認められていたのはわずか6%でした。データ漏洩やインフラへの懸念から在宅勤務には消極的だったようです。
6月22日付のCustomerthink.comの記事によれば、世界的に見てコールセンター企業の59%が一部のエージェントに在宅勤務を許可しているそうです。コロナによってその割合は74%に増加しています。そして、在宅勤務によってエージェントの満足度向上と離職率の低下、そしてオフィススペースの削減に繋がったと多くの企業が報告しています。そして最も重要なことは、34%がリモートテクノロジーが思っていた以上に機能していることに気付いたと報告していることです。
パンデミック第二波が発生してきたことで、政府が再びソーシャルディスタンスを強く呼びかける可能性が高いです。この記事を書いている時点で、1日に1000件以上の感染者が出ています。コールセンター業界にとって、今こそリモートエージェントに目を向けるチャンスなのです。
リモートワーカーがいれば、コールセンター企業はこの機会を利用してインフラを見直しながら、顧客のニーズにより柔軟に対応することができます。バーチャルデスクトップテクノロジーを活用することで、データ漏洩の懸念を軽減することができます(第3回でご説明します)。しかし、それだけでは、顧客満足度の向上には繋がりません。
ZendeskのCX Trends 2020の調査報告からいくつかの重要なポイントをおさらいすると、回答者のほぼ半数が、たった1回の悪い顧客体験をしただけで競合他社に乗り換えると回答しています。回答者の70%近くが、部署間で通話を転送されるとイライラすると回答しており、特に問い合わせ内容を繰り返し伝えなければならない場合にストレスを感じると答えています。24時間365日対応してくれるサポートを希望しているとも回答しています。
オムニチャネルのチケットシステムを実装すれば、これらの懸念がほぼ解消され、バーチャルデスクトップソリューションとの互換性も確保できます。Zendeskのようなオムニチャネルサポートシステムは、多くのデータソースとの統合が可能で、ワンストップで顧客と対話できるツールです。電話やメールだけでなく、SNS、オンラインコミュニティ、セルフサービスまで、エージェントの手が届く範囲を広げてくれます。
次の記事では、オムニチャネルのチケットシステムと、そのコールセンターへのメリットについて更に掘り下げていきます。最後となる第3回は、リモートエージェントの接続性に関する懸念軸について取り上げます。
混沌とした状況の中にチャンスがあります。日本のコールセンター業界にとって、今が変革を遂げる大きなチャンスです。エージェントのための在宅勤務こそが、パンデミックを乗り切るための柔軟性を高め、従業員の満足度を向上させることができるのです。オムニチャネルのチケットシステムは、エージェントの効率姓と顧客満足度の両方にとってメリットとなるでしょう。