Unwired Logic株式会社

業界関係者の声:セルフストレージ業界におけるアクセスコントロール<前編>

UL:ご自身やビジネスについて教えていただけますか?

セバスチャン:ウィーンに拠点を置くITコンサルティング会社のCEOをしています。不動産会社のテクノロジーに関するニーズを支援しています。デジタルトランスフォーメーションやシステム導入、その他のテクノロジーにかかわるニーズに対応し、現代的かつ効率的で未来志向のセルフストレージ事業を実現するためのお手伝いをしています。

UL:2021年は、セルフストレージ事業のカスタマーエクスペリエンスにおいて、どのようなトレンドに注目すべきでしょうか?

セバスチャン:まず1つめは、ウェブサイト上での手続きが可能となるオンライン予約になります。2つめは、セルフサービスでしょうか。カスタマーエクスペリエンスにとって重要なトレンドです。そして3つめは、セルフストレージ業界全体で小規模な店舗が一般的になっていくでしょう。大規模な店舗の場合、現地スタッフが対応できるためオンライン予約やデジタル化は必ずしも必要ではないかもしれません。しかし、小規模な店舗の場合、現地にスタッフを配置することはあまり利益につながりません。

日本では少し違うかもしれませんが、ヨーロッパでは不動産会社が従来の方法で運営できる施設をほぼ買い占めてきたため、今になって問題を抱えています。小規模な店舗をたくさん所有していても従来の方法では運営管理が行き届かないのです。そうなると、オンライン予約やスマートロックなど、効率化を図る手段を取らざるを得なくなります。また、セルフサービスも効率化を図る方法の1つですね。

UL:ヨーロッパでは、このようなトレンドに追いつけるほど革新的なテクノロジーが一般的に活用されているのでしょうか?他の地域ではどうですか?

セバスチャン:アメリカの市場は特に遅れています。業界がとても古いので、古いやり方に囚われています。ヨーロッパでは、セルフストレージとデジタルトランスフォーメーションの流行時期が一致しています。だから、すぐに「どうやったら最新のものにできるか」を考えているんですね。アジアの市場については、あまり詳しく知らないのですが、面白い取り組みをしている企業があると聞いています。その1つがStorefriendlyです。彼らはロボットを活用しているそうです。Amazonが物流ロボットを使ってラック全体を従業員のところまで運んでいますが、Storefriendlyもこの技術をセルフストレージに応用しているのです。店舗前には小さな部屋があるだけで、顧客がそこに入って自動で運ばれてくる荷物を受け取れるシステムになっていますし、アジアの方が進んでいるかもしれません。またStoreganiseのようなオンライン予約に対応しているソフトウェアもアジアから出てきていますしね。

UL:それ以外の地域ではいかがですか?

セバスチャン:コロンビアや中東などの未開拓市場に進出しているコンサルタントや不動産開発業者とも連絡を取り合っていますが、不動産投資家たちは、まだあまり知られていないマーケットにもすでに目を向けています。私にはそこまでの洞察力はありませんがね。

UL:ヨーロッパ市場のセルフストレージ業界は、小規模な独立業者と大規模なフランチャイズのどちらがトレンドになっているのですか?

セバスチャン:大手の中には、プラットフォームを構築しようとしている企業もあります。フランチャイズがよい例です。既に100ヶ所ほど展開している企業もあります。しかし、不動産開発業者から聞いた話では、このような契約は高額であまり受け入れられていないとのことでした。支出が大きすぎるのか利益が少なすぎるのかわかりませんが、この選択肢を失ってしまっているのです。セルフストレージ業界には、昔から多くの小規模事業者がいます。ある程度のスペースさえあれば、セルフストレージ事業に転用するのはとても簡単です。そんな中、テクノロジーやソフトウェアに投資できる大きな事業者が市場を独占しようとしています。私が思うに、小規模事業者にとっては差別化を維持することが課題となり、デジタル化を実現するためのソリューションを少ない予算で見つけなければならない状況にあるのです。

UL:セルフストレージ業界のテクノロジーについて、その可能性や課題は何でしょうか?

セバスチャン:運用コストを節約して、現代的なユーザーエクスペリエンスを生み出すことが、先ほど述べた課題をクリアできる方法でしょう。問題は、それが可能なのか、それとも難しいのかということだと思いますが、遅かれ早かれ必要になると思います。多くの競合他社がそれらを先に実現してしまったら、もう太刀打ちできなくなってしまいますしね。しかし、多くの企業は、自社が一番最初の挑戦者になりたくないので、二の足を踏んでいます。何が有効で何が上手くいかないのかを知るための実験台になりたくないのです。こういう時こそ、Unwired LogicやKaribuのようなコンサルタント会社の力を借りれば、正しい方法を教えてもらえます。自分たちで資金や労力を費やして正しい方法を模索する必要はないのです。デジタルトランスフォーメーションに失敗する企業の多くは、ここに原因があるので。

UL:その点を踏まえて、小規模の独立業者が大手に圧迫されていることを考えると、将来を見据えてセルフストレージ事業者が注力すべき重要な機能はなんだとお考えですか?

セバスチャン:Storeganiseのようなソフトウェアですね。多くの同業他社が同じ方向に進んでいるので、自分の会社がイノベーションの最前線にはいないかもしれません。最前線にいるのは、5年、またはそれ以前からこういったことに着手してきた企業です。しかし、その分多くの資金を費やしてきています。最前線にいるというのはそういうことです。それに比べて、Storeganiseは破格です。多くの企業が支持するほど、必要な機能も搭載されるため、大手と競争できる力を得られます。このようなソリューションを採用すれば、多額の資金を投入せずに優秀なソフトウェアやハードウェアを使っている企業と同レベルに到達できるでしょう。

 

 

セバスチャン・ケレケス氏のインタビュー後半では、セルフストレージ業界におけるアクセス制御や今後の展望についてお話を伺います。お楽しみに!