今回は、RSAレンタル収納スペース推進協議会エグゼクティブディレクターの吉田得生さんにお話を伺いました。最近のトレンドから、新たに生まれるビジネス、そして、どのようなことが業界の成長に必要かについて語っていただきました。
Q1. 前回のインタビューでは、トランクルーム業界の過去数年における成長についてお話を伺いました。そこで、業界への新しい企業の参入、またトランクルームに関係ある新たなビジネスなどありましたら教えてください。
A1. 新規参入の動きがある新企業としては、大手不動産関連会社や商社系の都市開発企業などがあります。シェアオフィス事業者も今後参入が予想されます。今までは、ビルのオーナーが空いているビルの部屋をレンタルルームに改造して運営しているケースが多かったと言えますが、最近の傾向では、大手の企業が事業として参入してきています。ひとつの不動産事業として注目されてきているのです。
また、リモートワーク人口の増加で発生する事務所の空きスペース対策として、空いたスペースをストレージとしてレンタルするなどの新しいビジネスモデルを検討している、という問い合わせも受けます。
関連企業としてはコインランドリー、コンビニエンスストア、ミニオフィスなどの施設と併設が増えていきそうです。最近では宅配型トランクルームも成長の兆しがあり、
これらのサービスとの共存も考えられます。今後、さまざまな事業者とのコラボレーションが増えていくと言えるでしょう。
Q2. 今回の新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の拡大にともない、トランクルーム業界内での動きや変化はありますか?
A2. 4月と6月に行った会員事業者に向けた事業調査では、大きな変化は見られませんでした。このパンデミックのなかでも影響が少ない、安定した事業と言えるでしょう。ただ、5月ごろから利用希望に関する問い合わせは減少傾向が見られました。今後、警戒心をもって見ていく必要があります。
また、今回のパンデミックによって、インターネットでの契約、ウェブを利用したコミュニケーション、施設の遠隔管理などのニーズが増えていくと思います。また、新たなシステムを導入することでコスト削減が見込めるなら、導入を進めていくことで事業のかたちも変わっていくのではないかと考えています。
Q3. 自粛が続くこの状況下で、複数企業で集まり、情報交換を行うことが困難になってきています。このような問題を解決し、マーケットの情報を知るよい方法はありますか?
A3. RSAのホームページではお知らせコーナーがあり、随時、情報提供を行っています。また、今年のフォーラムは会場開催や懇親会は行えないので、Webによるフォーラム開催を予定しています。サプライヤー様のプロモーションも定期的に開催したいと考えています。
SNS(FacebookやLinkedinなど)を駆使し、ご利用者に情報を発信することが重要です。海外では盛んに行われています。
RSA事務局では、Webミーティングの要望があれば対応していますので、お聞きになりたいことがあればいつでもご連絡ください。
Q4. 吉田さんは、トランクルーム業界に長い間携わっておられると伺っています。そこで、今までで一番大変だった、チャレンジングだった経験はなんですか?
A4. この業界に入った20数年前までは、トランクルーム事業の認知度は低かったので、事業拡大には苦労しました。ここ10年ほどで店舗数も増え、町のあちこちで目にするようになりましたが、最初は一般の方に知られていなかったので、認知してもらうことに一番時間がかかりました。
今、いちばんのチャレンジは海外団体との連携を取ることです。SSAAとはうまく連携し、アジア圏の情報は定期的に得られるようになりました。今年はFEDESSA(ヨーロッパの団体)とも連携を取りたいと考えています。
Q5. トランクルーム業界において、次の大きな動きはどのようなこととお考えでしょうか?
A5. やはり、このコロナの状況下で、どのような事業運営を行っていくのかが当面の大きな課題だと言えるでしょう。先ほども挙げましたように、契約のオンライン化、Webカメラを利用した施設の遠隔管理などに加え、どのように施設のグレードを上げ、いかに料金体系を維持するかが今後を左右してくると思います。
ご利用者の対応としては、料金体系の明確化やサイズ表示の統一化を行い、よりよいサービスを付加することで賃貸ビジネスからサービス産業へ脱皮を図ることです。今までは、部屋を貸すということだけに注力してきましたが、今後はサービスモデルをしっかり構築していく必要があります。
また、投資事業としての魅力も出てきました。今後は施設の投資を募り、より大きな事業に成長させることです。数社で、このような展開は始まっています。アメリカやヨーロッパでは、トランクルームはすでに投資事業としての位置づけがあります。
アンワイヤード・ロジック株式会社は、一般社団法人レンタル収納協会(RSA)の理事を務めています。
RSAについての詳細は、以下のURLでご覧いただけます:https://www.rentalspace.org/